ヘルメス [ギリシャ神話の世界]

ヘルメス
Hermes

神格、別称
伝令の神
旅人と商品と泥棒の守護神
冥界の案内人
幸運の使者
豊穣多産の神
ローマ名:メルクリウス
英語名:マーキュリー
系譜
父・ゼウス
母・マイア
異母兄弟・アポロン、アルテミス、ヘラクレス、アテナ、ペルセウスなど
ヘルメスはゼウスとアトラスの娘・マイアとの間に産まれた子で、帽子と翼の生えたサンダル、二匹の蛇が絡み合った杖(ケリュケイオン)がトレードマークの神です。

オリンポス12神の一人であり、ゼウスの末子として知られるヘルメスですが、アルカディアのキュレネ山中の洞窟で生まれたその日から天才的とも言える異常な行動を見せます。
それはアポロンの飼っている牡牛を50頭も盗んだ挙句、残った足跡から追跡ないように特殊な草履を履き、牛同士をロープでつないで後ろ向きで歩かせるなどして誰の犯行か分からなくした上に、逃走路の途中に出会った老人を買収し、追跡を混乱させるという大人顔負けの計画的な犯行でした。
このようなヘルメスの用意周到さによってアポロンはとうとう犯人を割り出す事ができなくなった為、占いによって犯人を特定し、ヘルメスの母であるマイアに詰め寄ります。
しかし、これを聞いたマイアは生まれたばかりの息子にそのような事が出来る訳がないと擁護します。どうにも怒りがおさまらないアポロンはゼウスに訴え、牡牛を取り戻そうとしますが、ヘルメスが盗んだ牡牛の腸と亀の甲羅で作った竪琴の音色が気にいり、竪琴を貰う代わりに牡牛をヘルメスに譲る事にしたのでした。この事件以降、アポロンは才能あふれるヘルメスが大変、気にいり、ヘルメスはアポロンから占星術の手ほどきを受けるほどの関係になります。

ヘルメスは前述したケリュケイオンという杖を手に持っていますが、実はこれもアポロンから譲り受けた物で元々は二匹の蛇はついていませんでした。二匹の蛇が杖に絡んだ経緯は争ってる二匹の蛇を見たヘルメスが蛇たちの間にケリュケイオンをおいた所、蛇達は絡みつき離れなくなってしまったからだと言われています。
この逸話からヘルメスは道を整備し、障害を取り除く神だと考えられるようになり、道のあちこちで彼を模した物が置かれるようになりました。

ヘルメスと言えば、神々の使者のイメージが強いと思われますが、この分野においても多くのエピソードを持っています。
例えば、ヘラクレスには剣をオデュッセウスには薬草を与え、メデューサを倒したペルセウスには隠れ帽(羽の生えた靴とも)を運び、アトラスの娘・カリュプソヘオデュッセウスに帰還命令を伝えるなど、重要な役割を果たしています。
更に冥界の案内人としての顔も持つヘルメスは冥界に下ったヘラクレスや吟遊詩人オルフェウスを助けて呼び戻すなど最高神ゼウスにも難しい仕事をやってのけます。

この他にも壺に閉じ込められたアレスを救い出したり、百の目を持つ怪物アルゴスを倒してイオを救い出すなど、天才児として生まれたヘルメスはその後も数えだせばキリがないほどの華々しい活躍を見せ続けたのでした。

尚、運命の三女神がアルファベットを考案する際に手助けをしたのもヘルメスだとされており、数や天文学、音楽などを発明したのも彼だと言われています。